2020年ワークステーションに求められるもの。ハイエンドPCの関係。

2020年ワークステーションに求められるもの。ハイエンドPCの関係。

2020年ワークステーションに求められるもの。

かつてのワークステーション(以下:WS)。
1990年代のWSはパーソナルコンピュータ(以下:PC)の性能を凌駕する計算能力や大容量の記憶装置などを備え、大型であり大変高価であり正に「代物」であった。

時代は2020年。昨今のWSに求められるものはどのように変わったのでしょうか。


プロセッサの高性能化と低価格化でPC自体の性能も飛躍的に向上し一旦はクロック周波数での高速化が頭打したものの、マルチコア化、多コア化とアプリケーションの最適化により処理性能向上は更に加速しています。
WSとPCの差別化を議論される場面も見受けられますが私見も交えつつそれぞれの違いをご紹介したいと思います。

私自身個人所有(個人使用)のコンピュータもヒューレット パッカード社(HP社)のWSを愛用してきましたが2020年現在ではいわゆる「自作PC」を使用しています。
長年HPのWSを愛用してきて何故自作PCに落ち着いたのか?
それはPCの性能が向上した事によるものですが単純に性能=計算能力という意味の性能ではありません。

ハードとソフトそれぞれの安定性が大きく向上し、WSの価値が見いだせなくなったと言うのが理由です。
安定性とはいわばハードとソフトの相性がよくなった若しくは設計がよくなったと言うことで、ハードとソフトのメーカーやベンダの経験の上昇などが要因だと思います。
またコンピュータの普及により使用者の増加と市場規模の拡大もその要因でしょう。

WSはハードとソフト間での安定性の担保が最も重要であり同時にそれが価値でしたが昨今ではWSとPCでその差が小さくなったのです。

インターグラフ社のTDZ-2000とビデオパワーオプション

計算能力の向上もWS離れを加速させます。
WSという言葉の意味を解説するWEBサイトでよく見受けられる「WSとPCの違い」が計算能力です。
「WSは高性能で計算能力が高い!」よく言われるフレーズで、
1990年代から2000年初頭まではそれは大きなWS導入の理由だったでしょう。
しかし2020年現在で計算能力を理由にしてWSを導入すると言うのは少し違和感を覚えます。

中小ベンダによる突飛で過激なスペックの製品は有るものの大手のメーカー・ベンダは基本的に過激なスペックのWSを製品化しません、何故か?それは突飛で過激なスペックが求められないからです。
「突飛で過激な性能が不要」という言葉の裏には単機(シングルノード)で長時間計算させる場面が少なくなったと言うことです。
プロセッサの性能向上でシングルノードあたりの性能も向上、とソフトウエアの性能向上で単機あたりでの「突飛で過激なずば抜けた性能」は求められなくなったのです。

長時間計算させる場面では分散処理(複数のサーバやPC)を用いて行うというのは今も昔も同じですが、PCの計算能力の向上で市場全体の中での高性能WSの価値が下がりました。

例えれば、
「フリーランスの3Dクリエーターがレンダリングを行うために500万円のWS(単機)を使わなくなった=PC単機の能力向上・安定性向上=プロセッサの計算能力向上+安価なPC+HWとSW共に安定性の向上」
といった式でしょうか。

ワークステーションに求められること。

では2020年になってもWSが製品として残っている理由を説明していきます。
私個人でWSに価値を見る所はまず保守の充実です。

・保守

PCやWSの保守(作業)とは不具合を起きた機器の復旧を意味します。
WSの場合は部品が故障し操作不能、若しくは著しく性能が低下し本来の性能を損ねた場面から正常時への復帰です。

では自作もしくはメーカー製PCを使用していてPC内部の部品の故障が起き、使えなくなった時はどう対処するでしょうか?
まず、販売店かメーカーに電話し不具合を報告します→PCを箱詰めします→メーカーに送ります→修理のため数日待ちます→メーカーから帰ってきます→その梱包を開けます→机に配置します・・・、
思いついただけでも所有者が行う作業が多いというのが分かります。
しかし問題は所有者の手間では無いのです、PCのトラブルによって何日間(何時間)作業が停止していたかです。PCのトラブル発生から復旧まで少なく見積もっても3日間はそのPCで作業することはできなくなります。

一方、WSの場合はどうでしょうか?
なんと、WSであればトラブル発生から6時間以内に復旧しています。(保守サービス契約内容により、オプション契約を選ぶ必要も有ります)
WSはトラブル発生から最短で6時間以内に復旧させる保守サービスを付加させられるのです。

仕事の道具として選ぶならPCとWSどちらを選べば良いか分かりましたね、3日間何も出来ないでいるか6時間待つかです。

保守サービスの価値が高くなる条件は以下の通りです、
作業用のコンピュータを1機(若しくは少数)のみでの運用の場合(予備機が無い状態)、若しくは所有者がPCに詳しく無い場合、さらにはPCの部品が短時間で調達出来ない場合には保守サービスはかなり有効です。
逆に言ってしまえばPCが複数ありPCに精通しPC部品店が近くに有れば保守を受けなくても自力復旧が可能であるため保守サービスの価値は下がりますが、PCの部品の調達はあくまでPC部品店の営業時間内での話なので深夜帯での復旧が難しくなります。

WSの「オンサイト保守 当日6時間以内対応」といのは問題発生後(正確にはサポートに電話連絡後)6時間以内に復旧させるという意味です。
またオンサイトというのは言葉通りWSの設置されている場所までメーカーの技術者(メーカーから委託された請負業者)が訪問し復旧作業を行うということでWSを箱詰めし発送する必要は有りません。
トラブル連絡と同時に交換部品も各地の発送基地から超速達便で昼夜問わず次々と送られてくることでしょう。

次のWSを選ぶ理由は安定性です。

・安定性
WSとソフトウエアとの動作を確認し、水準の高い互換性を維持しています。

・同一環境の長期間の維持
この事をWSの特徴としてあげる人は少ないと思いますが、安定性を確保した環境を長期間維持するという観点では非常に有効です。今確実に動作している環境を長期間維持し、ハードウエアとソフトウエアが同じで有ればそれらの更新も必要でないためコストを抑えられるという考えです。
一度開発したソフトウエアを同じハードで長く使うというのはとても安価で、そういう機器はネットワークにも繋がっていない場合もあり、そうなるとOSの更新やウイルス対策ソフトも不要です。

また、NVIDIAQuadroを搭載したグラフィックカードが長期間売れ残っている?なんて見たことは無いでしょうか?
厳密に言うと確かに売れ残りなのですが製造期間がGeForceよりもQuadroの方が長いため在庫が有るのです。
Quadroグラフィックスカードはあえて同一環境を長期間維持するために製造期間が長いのです。

・計算能力
今となってはWSに計算能力が高いというのはあまり価値を見い出せません。
一部の小規模ベンダによる突飛なスペックのWSは有るものの大手のベンダではせいぜいマルチCPU(Dual CPU)+2GPUなどであり。マルチCPUのWSも単一CPUのマルチコア化・多コア化により価値が低くなっていると言うのが現状です。しかし単一CPUで多コアであれば2CPUで単純に倍のコア数になり高密度な実装という観点であれば価値があるでしょう。

2020年WSを選ぶ理由はこよのうな内容です。

WSを導入する場面の移ろいもあり、この記事を書いている私自身2020年にWSを使用していない。自分の現場からは少し遠い物になってきた感じはある。

SGI Fuel

WSはヒューレット パッカード社の50~60万円程度の機種を3年間で更新するという感じであったが、現在では所謂「自作PC」をアップデートしながら使用するようになった。
個人所有の機器で数日間フルロードで計算する事も無い、仕事で計算をさせる場合はレンダリングサーバがその役割を担うのでデスクサイドに高性能WSが必要はないのだ。


かつては一つの仕事で延4,000時間以上の計算をしたりもした、ヒューレット パッカード社のWSとサーバを複数台用意し分散処理を行ったのが懐かしい。今では設備を用意しなくてもクラウドサービスによる計算も可能であり、目に見えるところに大型の計算機がないのは普通なのだろう。
リアルタイムレイトレーシング、RTX、GPUレンダリング Quadro VCA・・・そんな言葉が流行る今日この頃ですが大規模計算機が身近な存在で無くなった事は少し寂しくも感じもする。

SGI Onyx 2 Infinity Reality 2(写真 上)冷蔵庫大のWSの性能がいまやテスクトップサイズで実現している。

つづく、

Leave a Reply

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です